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シード・プランニングが抗体医薬品の開発と臨床現場のインパクトを調査
抗体医薬品の保健適用拡大により臨床が進み、市場が拡大
抗体医薬品市場は2010年には1700億円を超える
調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(東京・台東区 梅田佳夫社長)は、医療現場に大きなインパクトを与えつつある抗体医薬品に関する開発と臨床現場の状況の調査を実施し、調査研究レポート「抗体医薬品開発とビジネス展開の今後の方向性」(2008年4月30日発刊)にまとめた。
株式会社シード・プランニングでは、医薬・バイオに関する技術動向、市場調査を継続的に行なっているが、このほど臨床現場での抗体医薬品の使用状況と国内大手医薬品メーカー等へのヒアリング調査を行い、抗体医薬品の開発状況と将来展望についてまとめた。
本調査の結果のポイントは以下の通りである。
抗体医薬品の市場は2007年で800億円、10年後には7,000億円に達すると予測される
今回の調査で、日本の2007年の抗体医薬品市場は約800億円と推計されたが、2010年には1,700億円を超え、今後10年で7,000億〜8,000億円市場に成長し、医療用医薬品市場7〜8兆円の1割を占めるようになると予想される。これは欧米製品の導入や日本発の抗体医薬品の開発が進んでいること、臨床実績が積まれ、抗体医薬品の保険適応範囲の拡大が期待できることが背景となっている。関節リウマチや乳がん、血液がんなどでの治療が改善され、大きな効果が得られるようになり、臨床現場において抗体医薬品の評価が確立し、使用が広がっている。
臨床現場で関節リウマチ、乳がんへの抗体医薬品の使用が進んでいる
今回の調査では特に臨床現場での抗体医薬品の使用状況についてヒアリングを行い、現在抗体医薬品が導入されている主な疾患「関節リウマチ」「乳がん」「血液がん」「大腸がん」について、臨床でのインパクトと使用実態、効果や課題について調査した。
その結果、この数年で特に大幅に使用が増加している「関節リウマチ」「乳がん」において、使用目的や場面が広がり、ニーズや課題が多様化していることが明らかになった。また、これまで根治は難しいと見られていたこれらの疾患でも治癒につながる例が出始めていることから、抗体医薬品のより早期段階からの使用に対する期待も高まっている。
さらに、抗体医薬品の保険適応範囲が拡大し、使用目的や対象者が広がったことで、大病院だけでなく診療所等でも抗体医薬品の使用が広がっており、それによって抗体医薬品の受容条件やニーズも変わってきていることも判明した。
また、乳がんや血液がん等に対する抗体医薬品では効果の事前予測が導入され、臨床現場において個人ごとに、薬の作用を最大化し患者のQOLを最適化する「個別化医療」の実現につながっていることも大きなインパクトとなっている。
各抗体医薬品の臨床現場での位置づけ、今後の使用目的の広がり等について、下図に示した。
日本での国産抗体医薬品の開発が進み、大手医薬品メーカーの参入も進んでいる
これまで日本では、欧米で開発された抗体医薬品を導入して使用するという状況であったが、今回の調査で、日本においても研究開発が進み、大手企業において抗体医薬品開発が急速に進展していることが把握できた。
2005年に中外製薬の「アクテムラ」がキャッスルマン病用に国産抗体医薬として初めて上市され、さらに2008年から関節リウマチへの適用拡大となり、大幅な市場の広がりが期待されている。2007年に合併を発表し抗体医薬品開発の加速化を目指すキリンファーマ、協和発酵工業を含めた三社が日本の抗体医薬を引っぱってきた。
そこに武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬、エーザイの大手もM&Aも含め開発を強化しており、今後も抗体医薬品の開発動向は目を離せない状況となっている。
<調査概要>
- 調査対象
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- 抗体医薬開発に取り組む製薬企業 (国内 12社)
抗体医薬開発の大手製薬企業
ベンチャー企業
外資系製薬企業6社
4社
2社- 臨床医 (国内 10病院)
関節リウマチ
乳がん
血液がん
大腸がん4病院
4病院
1病院
1病院
- 調査方法
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- 面接調査、公開情報調査
- 調査項目
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- 抗体医薬開発の現状と展望
- 臨床における抗体医薬のインパクトと今後の方向性
- 企業情報、開発情報
- 調査期間
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- 2007月12月〜2008年4月
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