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シード・プランニング、医師不足に対応する遠隔医療の現状と展望をまとめる

2008/11/26

現在は、遠隔放射線診断支援サービスがビジネスとして顕在化
2012年には放射線画像診断の35%が遠隔支援サービス利用に
病理診断は、2012年には10%強が遠隔支援サービス利用に
遠隔医療の発展はEHRの普及が鍵

市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都台東区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、病診連携・地域ケア・在宅医療へと拡大する「遠隔医療」について現状と今後の展望を調査し、このほど、その結果をまとめました。

現在の医療は、医師不足と救急医療の増加などから、人的リソースが疲弊する「負のスパイラル」が起きていると指摘されています。その改善策のひとつとして、わが国に普及しているIT技術とネットワークを活用した遠隔医療が注目されています。

本調査では、遠隔医療への参入企業や遠隔医療を推進するプロジェクトの取り組みを調査し、遠隔医療の現状を把握するとともに、遠隔医療の方向性を2012年まで展望しました。

なお、調査結果の詳細は、「2008年版 遠隔医療の現状と今後の展望」(2008年11月6日発刊)として販売しております。

調査結果のポイントは以下の通りです。

現在は、遠隔放射線診断支援サービスがビジネスとして顕在化
2012年には放射線画像診断の35%が遠隔支援サービス利用に

【図1】遠隔放射線診断支援サービス市場の予測

放射線科専門医が全国に約4,500人しか存在しない状況の中、検査機器の高度化で増加し続ける読影量に対応し、かつ、患者に質の高い医療を提供するために、遠隔放射線診断支援サービスが誕生した。読影センターなどに通信ネットワークを通じて画像を送り放射線科専門医が読影。読影医はレポートを作成して、依頼主病院に返送する。

2005年の放射線診断読影件数は約2,400万件。このうちの10%、約240万件が遠隔放射線診断支援サービスでの読影となっている。

2008年度の診療報酬改定により、医療機関は今後、画像診断管理加算を算定するため、放射線画像の約8割を専門医による読影に切り替えると想定される。

2012年には約3,280万件の読影が必要な画像の発生が想定されるが、発生する画像の80%を専門医が読影すると仮定すると、勤務医の読影量が大きく増加するとは考えにくく、全体の35%約1,148万件の読影が遠隔放射線診断支援サービスを利用すると予測される。

病理診断は、2012年には10%強が遠隔支援サービス利用に

【図2】遠隔病理診断支援サービス市場の予測

2005年の病理診断は、病理組織顕微鏡検査が641万件、病理組織迅速顕微鏡検査が6万件であった。 2012年の検査件数を予測すると、病理組織顕微鏡検査が815万件、病理組織迅速顕微鏡検査が13万件と推定される。

病理検査でも遠隔放射線診断支援サービス同様ビジネス化し、約10%のシェアを獲得すれば約82万件が遠隔サービス利用となる。術中迅速診断でもデジタルネットワーク化が進み、各10%が遠隔支援サービスを利用するとすれば約1.3万件。計83万件が遠隔支援サービスを利用することになる。

遠隔医療の発展はEHRの普及が鍵

現在の医療情報ネットワークは院内で活用するものが多い。しかし電子カルテがEHR(生涯電子カルテ:Electonic Health Record)に進化することで、生涯にわたり健康情報医療情報が蓄積され、必要なときに取り出せる仕組みが確立する。

患者はどの医療機関を訪れてもEHRに蓄積されている健康情報や診療履歴に基づいて診断を受けられる。

病診連携システムが定着し、今後は地域連携の活性化へと向かう今、電子カルテからEHRへの進化が期待される。

本件に関するお問合せ先
株式会社シード・プランニング
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東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル4F
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担当 : 荒川(あらかわ)