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モバイルヘルスケアサービスの将来展望がまとまりました
2012年の市場規模は2007年比20倍の1600億円と予想
健康・医療・見守りなどの新市場が創出される
市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都台東区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、モバイルヘルスケアサービスに関する調査を行い、このほど、その結果をまとめました。
モバイルヘルスケアサービスとは「携帯電話を出入り口として、健康に関する情報を送受信するサービス」を指しています。
携帯電話は、2007年に契約数が約1億回線を超え、国民の一人一台が利用するパーソナルツールとしての地位を獲得しています。さらに、高速な携帯IP接続サービスが利用できる第3世代携帯電話の加入契約数も1億回線に届こうとしています。また、携帯IP接続サービス利用のネックとして存在したパケット料金なども、定額料金制度の普及などで改善され、誰でも高速・大容量のサービスが受けられる環境が整い始めました。
現在は、様々なサービスが、PCから携帯電話に移行しています、従来の健康管理サービスなどにおいても、携帯電話と健康測定機器の連携などで各個人の健康情報を簡易に収集し、利活用できるモバイルヘルスケアサービスが普及しつつあります。
近年は、各キャリアや健康測定機器メーカーなどが、健康サービス事業者や保健指導機関など、幅広い事業者が参画できるヘルスケアプラットフォームを構築していることから、2009年を機に携帯電話を活用した健康サービスを提供するハードルが大幅に下がることが予想されます。
また、医療費削減を目的とした行政動向や、政策施行にともなう人々の健康に対する意識向上、高齢者の増加など、様々な社会的要因も追い風として作用しています。今後は、従来の健康分野だけでなく、医療分野、見守り分野などで新市場が創出され、モバイルヘルスケアサービス市場は大きく成長すると考えられます。
本調査ではモバイルヘルスケアサービスの参入企業の動向を探り、モバイルヘルスケアサービス市場の現状を把握するとともに、影響を与える移動体通信の動向や社会的背景などを整理し、将来展望をまとめました。
なお、本調査結果の詳細は、調査研究レポート「モバイルヘルスケアサービスの現状と将来展望 −携帯電話で拡大する健康・医療・見守りビジネスの新市場−」(2009年7月10日発刊)として販売しております。
調査結果のポイントは以下の通りです。
2012年の市場規模は2007年比20倍の1600億円と予想
健康・医療・見守りなどの新市場が創出される
2012年には1,600億円の市場に
総務省の「2008年度情報通信白書」によると、2007年のモバイルコンテンツ市場は、4,233億円。一方、総務省 情報通信審議会 携帯電話等周波数有効利用方策委員会が試算した2007年度の「健康・医療・安全分野」のトラフィックが約2%であることや、ヒアリング結果にもとづく各社の有料会員数から、2007年度のモバイルヘルスケアサービス市場は約80億円と推計される。
これまでのモバイルヘルスケアサービス市場は、ほぼキャリア課金型サイト(注1)のみで構成されていたが、特定健診・特定保健指導などの社会的要因やNTTドコモをはじめとする各キャリアが健康サービス事業者・保健指導機関などの法人向けにヘルスケアプラットフォームを提供することで、今後はソリューション型モデル(注2)のビジネスが大きく成長すると考えられる。
また、携帯電話の高性能化やブラウザの進化にともない、利用者がストレスなく一般サイトを閲覧する環境も整う。さらに、各キャリアのパケット定額加入者が増加傾向にあり、加入者は大容量のモバイルインターネットサービスを利用しやすくなることから、従来のキャリア課金システムに頼らない、広告モデルの無料ヘルスケア情報サイト(=一般サイト型モデル(注3))などが登場する。
このように、今後は、ソリューション型モデル、一般サイト型モデルが大幅に拡大し、各市場が成長すると想定される。
現在、キャリア課金型で展開するコンテンツホルダーも、利用者の需要に応じて、法人向けや消費者向けのサイトを用意し、異なるヘルスケアサービスを提供する事例も出てくるであろう。
2008年〜2012年のモバイルコンテンツ市場は、2007年までのモバイルコンテンツ市場の数値推移と、各社のヒアリング結果に基づき2012年には1兆500億円程度に成長すると見られる(「(参考)モバイルコンテンツの市場予測」グラフ参照)。
このうち、モバイルヘルスケアサービス市場は、
- 各キャリアのヘルスケアサービス向けプラットフォームの普及
- パケット定額加入者の増加
- 2010年から登場する3,9世代移動通信システムの普及
- 上記により新市場が創出されること
- 総務省 情報通信審議会 携帯電話等周波数有効利用方策委員会の試算では2012年には「健康・医療・安全」の分野のトラフィックが15%を占めると予測
などから、モバイルコンテンツ市場の15%程度、約1,600億円が「健康・医療・安全」分野のサービスになると想定される。
健康・医療・見守りなどの新市場の創出
現在のモバイルヘルスケアサービスは、体重や体脂肪などのいわゆる「健康情報」に限定したサービスが多い。健康情報は取り扱うが医療情報については一定のラインを引き、それ以上は取り扱わないように規定している企業もある。これは、医療情報が原則医療機関において管理・運用されている点、そして利用者にトラブルが生じた場合の責任の所在が不明瞭である点などが上げられる。
しかし、携帯電話で取得したデータを診療時に医師などの医療従事者に開示することで、より質の高い医療が受けられるメリットも存在する。本調査のヒアリング結果でも、医療分野のサービスを視野に入れつつ展開する事業者が見られた。よって将来は、携帯電話に取りためた個人の健康情報「PHR」と、国が進める大規模健康医療情報カルテ「EHR」とが連携するサービスなども生まれる可能性がある。
また、高齢者の増加に伴い、介護サービスの提供基準が厳しくなると考えられ、訪問介護等を利用しないが、何かしらの支援を望む単独世帯の高齢者が出現すると見られる。在宅健康管理や見守りシステムなど、高齢者向け携帯電話を活用した、単独世帯における急性疾患への対処や健康不安を解消するサービスの需要が高まる可能性がある。
(注1) キャリア課金型モデル<調査概要>
- 調査対象
- NTTドコモ、KDDI、エムティーアイ、コナミスポーツ&ライフ、スズケン、ドラス、日本ケアサプライ、ヘルスクリック、NTTレゾナント、サウンドウォークジャパン、ヒューマン・データ・ラボラトリ、NECモバイリング、オムロン ヘルスケア、KDDI研究所、タニタヘルスリンク、フェイス
- 調査方法
- 個別ヒアリング調査、公開資料
- 調査期間
- 2009 年4月〜7月
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