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太陽光発電の市場動向と普及ロードマップがまとまりました
2014年の世界の太陽光発電導入量は、2008年の約4倍に。累積導入量は柏崎刈羽原発の約11.6基に相当。
薄膜の市場拡大
今後、薄膜シリコン・CIS系がシェア拡大
市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都台東区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、太陽光発電の市場動向と普及ロードマップに関する調査を行い、このほど、その結果をまとめました。
地球温暖化や化石燃料の枯渇が危惧されるなか、再生可能エネルギーの導入が世界共通の急務とされており、主要先進国はいずれも様々な助成制度などを用いて太陽光発電の導入を図っています。 太陽光発電市場における現在の最も重要な課題は、コストを既存電力と同程度まで下げることです。量産によるコスト低減を目指し、各国が助成制度をもうけ、太陽光発電の導入を進めています。
今後、太陽光発電システムは、どの国・地域で、どのような用途で、どの太陽電池が利用されていくのでしょうか。また、太陽光発電では、既存の火力や原子力発電とは異なり、個人の住宅などへの設置も進んでいます。今後このような形で太陽光発電の導入が進んでいったときに、私たちにとってエネルギーの需給システムはどのように変化していくのでしょうか。
本調査では、太陽電池モジュールメーカー、太陽光発電関連部材を製造・販売するメーカーや太陽光発電市場の有識者へのヒアリングを中心とした調査を行い、現在の太陽光発電の市場動向を整理し、2014年までの普及シナリオを描きました。
なお、本調査結果の詳細は、調査研究レポート「2009年版 太陽光発電の市場動向と普及ロードマップ」(2009年7月28日発刊)として販売しております。
調査結果のポイントは以下の通りです。
2014年の世界の太陽光発電導入量は、2008年の約4倍に
2009年はスペインの市場縮小、世界不況により市場が落ち込むが、2010年以降は再び高成長に。
太陽光発電システムは既存電力と比較すると高額である。しかし、量産によるコストの低減が見込まれているため、2008年以前は、京都議定書の目標を持つ主要先進国が助成制度を策定することで太陽光発電の普及が進んだ。
2008年には、スペインが、フィード・イン・タリフの買取額を電気代の約3倍と高額にしたことにより、飛躍的に導入量が増加した。
2009年は、スペインが買い取り額の減少、買取額上限の縮小を行ったことや、2008年秋からの世界不況の影響で2008年の市場を10%ほど下回ることが予想される。
日本では2009年1月より国の助成制度が再開され、かつ都道府県や地方自治体などの助成制度が策定されている。また、2010年4月より余剰電力を48円で買い取ることも決定している。
フランス、イタリア、韓国などでも助成制度が手厚く設定されているため、これらの国では2009年に大きく市場が伸びると予想される。
また、米First Solar社がCdTe太陽電池でグリッドパリティ(既存電力と等価になること)を達成したと発表。シリコン価格が低下傾向にあることから、太陽光発電市場全体の価格が低下し、普及を促進している。
2010年以降は、米国の「グリーン・ニューディール政策」により太陽光発電の導入が進むと見られており、世界市場も大きく伸びることが期待される。
発電コストに関しては、2010年に、薄膜シリコン太陽電池でグリッドパリティに到達すると見られている。2011〜12年には薄膜系のCIS系太陽電池がグリッドパリティに達すると見られる。
これにより、薄膜シリコン系太陽電池、CIS系太陽電池の量産が進み、普及に拍車がかかるものと予想される。
今後、薄膜シリコン・CIS系がシェア拡大
薄膜の市場拡大。2007年 結晶系87.8%、薄膜系6.8% ⇒ 2014年 結晶系57.1%、薄膜系34.5%に。 薄膜系の中では、2011年頃まではCdTeが市場を伸ばすが、その後、薄膜シリコン・CIS系がコスト競争力をつけ、CdTeのシェアを奪う。
2010年頃、薄膜シリコン太陽電池でグリッドパリティを達することが見込まれる。薄膜シリコンは変換効率は結晶系に劣るが、安価であるため、主に産業用で広い面積の場所で利用が進む事が予想される。
2011〜2012年頃には同じく薄膜系のCIS系太陽電池もグリッドパリティに到達するとみられる。
CdTe太陽電池は2009年にグリッドパリティに到達したが、有害物質を含んでいるため利用されにくく、また、製造メーカーも少ないため量産が進まないことから、2011〜2013年頃に薄膜シリコン、CIS系太陽電池のほうが安価になると思われる。そうなると、CdTe太陽電池のメリットは失われ、市場を薄膜シリコン、CIS系に譲ることになると予想される。
<調査概要>
- 主要な調査分析項目(※予測はいずれも2014年まで)
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太陽光発電需要量/生産量推移
太陽電池種類ごとの生産量推移予測
太陽電池分類:単結晶シリコン、多結晶シリコン、薄膜シリコン、ハイブリッド型、CdTe、CIS系、その他
グリッドパリティ到達への流れ
(各太陽電池のコスト効率の推移予測と主要国の電気代との比較)
国/地域ごとの太陽電池需要推移予測
対象国/地域:日本、ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、その他欧州、米国、韓国、その他地域
上記を踏まえた太陽光発電普及シナリオ
- 調査方法
- 太陽電池モジュールメーカー 7社へのヒアリング
太陽光発電システム関連部材メーカー 5社へのヒアリング
関連市場 有識者へのヒアリング
シード・プランニング所蔵データ公開データ収集・整理
- 調査期間
- 2009年4月〜7月
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