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NFC、FeliCaビジネス最新動向
◆ 国内外でのNFCの本格普及はNFC搭載モバイルフォンの普及が鍵に。
◆ 2015年のモバイルフォン出荷台数に占めるNFC搭載比率は世界:56%、日本70%
※モバイルフォン:携帯電話+スマートフォン
市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都台東区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、NFC、FeliCaの動向に関する調査を実施し、このほど、その結果をまとめました。
「NFC」は、近接通信を意味するNear Field Communicationの略で、国際標準機構(ISO)によって2003年12月に国際規格化されています。近接通信とは、非接触ICカードやICタグなどを専用のリーダライタに、約10cm以内というごく近距離で通信を行う方式の呼称で、近接通信が可能なICカードには、FeliCa、Mifare、ISO14443 Type A・Type Bなどがあります。NFC仕様が規定されるまでは、それらのカードと通信するためには各々の仕様に対応するリーダライタが必要でしたが、NFCを搭載したリーダライタによって各種のICカードの読み取りが可能になりました。NFCはモバイルフォン(携帯電話・スマートフォン)を中心に、一般的なリーダライタや家電、AV機器等、今後さまざまな電子デバイスへ搭載され、決済や交通乗車券、クーポンなどあらゆる日常サービスに利用されることが期待されています。
本レポートでは、国内外でNFCを活用した非接触サービスが急速に広まりつつあることから、国内外のNFC関連企業や団体にヒアリング調査を実施し、各企業の参入動機や事業展開状況、今後の事業戦略等を把握するとともに、NFC市場の最新動向と将来展望を整理・分析し、2015年までの市場規模予測を行いました。
なお、本調査は、山本国際コンサルタンツの山本正行氏および電子決済研究所の多田羅政和氏の協力を得て行いました。
本調査結果の詳細は、調査研究レポート「世界のNFC市場戦略2010 〜NFC・FeliCa最新動向〜」(価格:189,000円:税込、2010年10月8日発刊)として販売しております。
調査結果のポイントは以下の通りです。
世界のNFCの普及状況
NFCは、モバイルフォン(携帯電話・スマートフォン)に装備されることにより非接触ICカードやリーダライタとして機能する。その効果は、利用者が日常的に保持するモバイルフォン一つで、決済、交通乗車券、クーポンなどあらゆる日常的なサービスを利用できるようになることである。
NFCはモバイルフォンのみならず一般的なリーダライタ、家電、医療機器などさまざまな分野への利用が想像されているが、その利用シーンのほとんどはNFCが実装されたモバイルフォン(NFC搭載モバイルフォン)との組み合わせで成り立つものであって、NFC 搭載モバイルフォンが無い場合にはその意義は失われてしまう。これまでにもモバイルフォン(移動機)メーカーからNFC搭載モバイルフォンが出荷され、通信キャリアや金融機関などが参加する実証実験が世界各地で行われているが、本格的な商用化へはまだ至らない状況にある。
しかし最近になってNokiaが今後発売する新しいスマートフォンにNFC を装備すると発表するなど、モバイルフォンのNFC対応が徐々に現実味を帯びてきている。
日本では、「おサイフケータイ」として非接触のインターフェースを備えたモバイルフォンは既に商用化されている。しかし世界に目を向けてみれば、韓国などの一部の地域を除いて多くの利用者にとってそれは初めての経験である。
世界的に見ればNFCによって初めて非接触インターフェースを備えたモバイルフォンが商用化される。それを推進する動機と期待は、総論、従来からある決済や交通用車券などのサービスがNFC搭載モバイルフォンによってより便利になることにある。
一方日本においては、NFCは先だって実用化された「おサイフケータイ」における様々な課題を埋め合わせるソリューション、言いかえると「次世代おサイフケータイ」として位置付けされる傾向が強い。
海外での本格普及はNFC搭載モバイルフォンの普及が鍵に。国内は既にFeliCaでインフラが整備されており、NFC化は遅れる可能性も。
(本書第1章より)海外では世界各地で2009年頃から実証実験が行われ、GSM方式を採用する通信キャリアによるGSMA(GSM Association)でもNFC採用へ向けた積極的議論が行われている。フランスでの実証実験(Cityzi)は商用前段階まで進んでおり、2011年の商用化が見込まれる。世界的には、決済、交通、公共、クーポンなどその他サービスが注目されているが、Cityziでは決済、交通、クーポンについて実証実験が行われている。
2011年以降にヨーロッパ、北米、アジアなどの地域でNFCを用いたサービスが立ち上がりつつある状況にあるが、今後、本格的普及にはNFC搭載モバイルフォンの普及が鍵となる。
一方、国内においてNFC普及の鍵となる通信キャリアのNFC対応(NFC対応機種の導入)は2011年後半以降に始まることが予想される。それに先立ちソフトバンクモバイル、およびKDDIが既に実証実験を実施している。
決済サービスにおけるNFC化は、クレジットカード、電子マネー共に通信キャリアの対応後に緩やかに対応が進むものと考えられる。しかしその両者ともに既存のFeliCaで構築済みのインフラ、発行済みFeliCaカード(プラスチックカード)との共存を図る必然性があることから、諸外国に比べ大幅に導入が遅れる可能性もある。
2015年のモバイルフォン出荷台数に占めるNFC搭載比率は世界:56%、日本70%。
世界におけるNFC搭載モバイルフォンは、2011年頃からスマートフォンを中心に商用化が始まり、2015年には全モバイルフォンの出荷台数の約6割に搭載されるものと見込まれる。
国内におけるNFC搭載モバイルフォンは、2011年末頃から商用化が始まり、2015年には全モバイルフォンの出荷台数の約7割に搭載されるものと見込まれる。
<調査概要>
- 1.調査対象:
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・ 通信事業者
・ システムベンダー
・ サービスプロバイダー
・ NFC 関連団体 - 2.調査方法:
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・ 訪問面接調査
・ オープンデータ収集等 - 3.調査項目:
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・ 非接触サービス普及状況(交通、金融・決済、その他)
・ NFC 実証実験・商用化動向
・ NFC 関連企業動向
・ NFC 標準化動向
・ NFC 搭載デバイスの市場規模予測
・ NFC 普及ロードマップ - 4.調査期間:
- 2010 年6 月〜2010 年9 月
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