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医療分野におけるクラウドコンピューティング活用の動向がまとまりました。
◆ 医療分野におけるクラウドコンピューティング活用サービスの市場規模は、2015年に1,164億円、2020 年の時点で
1,928 億円市場と予測
◆ 促進要因は、
① 厚生労働省通知「診療録等の保存を行う場所について」の一部改正
② レセプトオンライン化による医療機関におけるインターネット活用の普及
③ 地域医療再生基金の交付(IT に約400 億円) など
市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都台東区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、医療分野におけるクラウドコンピューティング活用の現状と方向性に関する調査を実施し、このほど、その結果をまとめました。
2010年2月に厚生労働省より発表された「診療録等の保存を行う場所について」の一部改正について」という通知により、民間企業が保有するデータセンターへの医療情報の外部保存が明確に認められました。これによってネットワークを介したクラウドコンピューティングによるITサービスを、医療分野において民間企業が提供しやすい環境が整ったと言えます。
一方、2010 年11 月時点において、件数ベースで病院の99.6%、診療所の90.4%、薬局の99.8%の請求がオンラインによるものとなっているなど医療機関におけるネットワーク活用は広まっており、さらにはクラウドによるサービス提供は価格が安い、他施設との連携が容易、自前で保守管理をする手間がないなど様々なメリットがあるため、大いに普及拡大の可能性を秘めているといえます。
このような背景の下、本調査では、すでに医療分野においてクラウド型サービスを提供されている事業者等にヒアリングを行い、医療分野におけるクラウド型サービスの発展の可能性と将来市場の予測および課題についてとりまとめました。
なお、本調査結果の詳細は、調査研究レポート「医療分野におけるクラウドコンピューティング活用の現状と方向性」(価格:120,000円+消費税、2011年2月8日発刊)として販売しております。
調査結果のポイントは以下の通りです
医療分野におけるクラウドコンピューティング活用サービスの市場規模は、2015年に1,164億円、2020 年の時点で1,928 億円市場と予測
医療分野におけるクラウドコンピューティング活用サービスの市場規模について、「クラウド型電子カルテ」、「クラウド型地域医療連携基盤の市場規模」、「クラウド型医用画像管理サービス」、「クラウド型EDCシステム」、「クラウド型検体検査システム」、「データベース分析サービス」、その他のサービスそれぞれの市場規模を予測し、それらを積み上げて算出した結果、全体の市場規模を2015年に1,164億円、2020 年の時点で1,928 億円市場と予測した。
促進要因は、
① 厚生労働省通知「『診療録等の保存を行う場所について』の一部改正」
② レセプトオンライン化による医療機関におけるインターネット活用の普及
③ 地域医療再生基金の交付(IT に約400 億円) など
厚生労働省通知「『診療録等の保存を行う場所について』の一部改正」
2010 年2 月1 日、厚生労働省医政局長・厚生労働省保険局長より「「診療録等の保存を行う場所について」の一部改正について」という通知が出され、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」、「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」、「ASP・SaaS における情報セキュリティ対策ガイドライン」、「ASP・SaaS 事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」が遵守されることが前提条件として、それまでは震災対策等の危機管理上の目的に限定されていた民間事業者による診療録等の外部保存が、この目的に限定されることなく認められた。 この通知により、民間事業者によるクラウドコンピューティングを活用したサービス提供の可能性が広がった。
レセプトオンライン化による医療機関におけるインターネット活用の普及
レセプトオンライン請求システム(保険医療機関・保険薬局と審査支払機関、審査支払機関と保険者等を、全国規模のネットワーク回線で結び、レセプト電算処理システムにおける診療報酬等のレセプトデータをオンラインで受け渡す仕組みを整備したシステム)への移行が自民党政権下で「義務化」され、民主党への政権交代によって「原則化」とされたが、レセプトオンライン請求は普及している。2010 年11 月時点において、件数ベースで病院の99.6%、診療所の90.4%、薬局の99.8%の請求がオンラインによるものとなっている。ただし、歯科については2.2%と非常に低い。
地域医療再生基金の交付(IT に約400 億円)
「地域医療再生基金」(地域医療を再生するため全国94 ヶ所の二次医療圏に対して、2010 年から5 年間に渡って交付される25 億円の補助金で総額2,350 億円)を活用する計画に、地域医療連携を推進する事業も含めている地域は多い。地域医療連携において、小規模病院は大規模病院の後方支援や回復期・リハビリ機能を担う病院という役割を持つが、連携をしていくためには連携している病院同士が情報共有を行う必要がある。
地域医療再生基金を活用する計画において、IT の活用する計画はおおよそ全体の1 割程度、200 億円と言われている。2011 年度補正予算において前述の2,350 億円に加え、さらに2,100 億円が上積みされており、もし今回も1 割がIT 関連の予算となるならば、総額約400 億円となる。
情報共有はクラウドの最も得意とするところであり、各社が発表しているクラウド型の電子カルテや地域医療連携システムも、この地域医療再生基金を見込んだものが多い。地域医療再生基金は医療分野におけるクラウドを推進する直接的な要因となっている。
クラウドコンピューティングは、電子カルテ、PACSといったアプリケーションだけでなく、経営支援システム、調剤薬局向けシステム、臨床検査関連システムなど様々なサービスにおいて活用される可能性があり、すでに提供されているサービスも存在する。クラウド事業者がサービスを一括管理できるため、サービス提供コストを下げることができるだけでなく、収集されたデータを活用した二次的なサービス提供という側面も期待される。
<調査概要>
- 調査対象
- 医療IT 事業者
- クラウドサービス事業者
- 関連団体
- 厚生労働省・総務省・経済産業省・内閣官房
- 医療機関
- 調査項目
- クラウドコンピューティングの定義
- 医療分野のクラウドコンピューティング活用に関連する国のガイドライン
- 医療クラウドと国の施策との係り方
- 医療分野におけるクラウドコンピューティング活用の課題と可能性
- サービス事例と市場規模予測
- 参入企業・関連団体動向
- 調査方法
- 公開情報の収集・分析
- 企業・団体ヒアリング調査(11 件)
- 調査期間
- 2010年6月〜2011年1月
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