プレスリリース

ホーム > プレスリリース > 2011年 > 7月12日発表

世界の治療用ワクチン開発の現状と将来展望がまとまりました。

2011/07/12

◆ 治療用ワクチンは、がん領域を中心に感染症や中枢神経系で開発が進んでいる。
◆ 多数の開発候補品の臨床試験が進められており、数年内には複数の製品が上市されると予測される。
  数年内に複数の核酸医薬品が登場すると予測される。
◆ 治療用ワクチンは多様な剤形(ワクチンの形態)があり、開発対象としている疾患領域によって大きな違いがある。

市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都台東区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、世界における治療用ワクチンの開発状況と将来展望について調査を実施し、このほど、その結果をまとめました。

現在、ゲノム技術・タンパク工学技術などの進展により免疫系を利用した治療用ワクチンの開発に注目が集まっています。治療用ワクチンは従来の予防用ワクチンと異なり、特定の疾患の患者に対し、抗原となるペプチドやタンパク質などを生体に投与することにより、生体の持つ免疫反応を利用して疾患を治療するというものです。

2010年には米国初の治療用がんワクチン「Provenge(樹状細胞医薬品)」が米国FDAに承認されました。Provengeは上市後、順調に売上を伸ばしています。これ以外にもがん領域と感染症領域を中心に開発が積極的に進められており、現在、フェーズII以上の開発候補品数は50以上に達しています。さらに製薬企業による治療用ワクチン開発も本格化しており、2011年にはがん治療用ワクチン開発を行う米国のベンチャーBioVexをAmgenが総額10億米ドルで買収しました。

治療用ワクチンの臨床開発は従来の治療薬とは異なったものであり、各企業が探索的に進めているのが現状です。一方、規制当局も対応を始め、米国FDAでは2009年にがん治療ワクチンの臨床開発のためのドラフトガイダンスを公表しています。また、一部の開発品は細胞医薬品に該当するため、製造や販売面で今までの医薬品とは異なったノウハウ・戦略が必要とされます。

今回のレポートでは世界における治療用ワクチンの開発状況、市場展望、開発における課題などを調べ、治療用ワクチン開発の将来展望や医薬品市場に与えるインパクトを考察しました。

なお、本調査結果は調査研究レポート『世界の治療用ワクチン開発の最新動向と将来展望〜免疫機能を利用した治療薬へのパラダイムシフト〜』(価格:180,000円+消費税、2011年7月5日発刊)として販売しています。

調査結果のポイントは以下の通りです。

調査結果のポイント

◆ 治療用ワクチンはがん領域を中心に感染症や中枢神経系で開発が進んでいる。

治療用ワクチンの開発対象疾患をみると、「がん領域」が最も多く、次いで「感染症領域」、「中枢神経系領域」となっている。特にがん領域と感染症領域の開発は多く、この2つの領域で8割強を占めている。がん領域は低分子の分子標的薬はもちろん抗体医薬品や核酸医薬品など多くの先端医薬品の開発対象となっており、企業間の開発競争が激化しているという状況がある。

治療用ワクチン(非臨床試験の開発段階以上)の対象となっている疾患領域

◆ 多数の開発候補品の臨床試験が進められており、数年内には複数の製品が上市されると予測される。

現在、医薬品の承認を得て販売されている治療用ワクチンはProvenge(樹状細胞医薬品:Dendreon)を中心に数品目しかない。世界でフェーズIII試験段階にあるのは10品目強、フェーズII段階にあるのは40品目強である。開発候補品数は低分子医薬品や抗体医薬品に比べると少ないが、ここ数年で着実に増加してきている。数年内に複数の製品が上市されると予測される。

各開発段階における治療用ワクチンの開発候補品数

◆ 治療用ワクチンは多様な剤形(ワクチンの形態)があり、開発対象としている疾患領域によって
  大きな違いがある。

治療用ワクチンにはDNA/RNAやペプチド、タンパク、細胞など多様な剤形があることが特徴の1つである。また、海外ではDNA/RNAを用いたワクチンの開発が多く、国内ではペプチドを用いたワクチンの開発が多いという特徴もある。多様な剤形は医薬品としての可能性を拡大させるための重要な要素である。

治療用ワクチンの剤形

調査概要

主な調査対象
  • 疾患領域;がん、感染症、中枢神経系疾患、循環器疾患、内分泌・代謝疾患、その他(花粉症、ニコチン依存症など)
  • 対象のワクチン;抗原としてDNA/RNA、ペプチド、タンパク質、細胞(自家/他家)などを利用するもの
調査対象
  • 治療用ワクチンの開発に関する世界の大手製薬企業、創薬ベンチャー企業
  • 治療用ワクチンの研究に関するアカデミアや医療機関、製薬企業関係者
【ヒアリング対象者】
  • 京都大学 大学院医学研究科・薬剤疫学分野 教授  川上 浩司先生
  • 慶應義塾大学 先端医科学研究所 細胞情報研究部門  教授 河上 裕先生
  • 国立がん研究センター東病院 臨床開発センター がん治療開発部 先端医療開発室
  • 室長 中面 哲也先生
  • 国立感染症研究所 エイズ研究センター センター長  俣野 哲朗先生
  • 東京大学大学院医学系研究科 神経病理学分野 教授  岩坪 威先生
  • グリーンペプタイド
  • ディナベック
  • 大手製薬企業 ワクチン開発担当者
本件に関するお問合せ先
株式会社シード・プランニング
〒113-0034
東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル 4F
TEL : 03-3835-9211(代) / FAX : 03-3831-0495
E-mail : info@seedplanning.co.jp
担当 : 番場(ばんば)