市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング（本社：東京都台東区　梅田佳夫社長、以下シード・プランニング）は、地域医療連携システムの現状と今後の方向性に関する調査を実施し、このほど、その結果をまとめました。

地域医療連携とは、地域の医療機関が自らの施設の実情や地域医療状況に応じて、医療の機能分担や専門化を進め、診療所と診療所、診療所と病院、あるいは、病院と病院が相互に円滑な連携を図り、その有する機能を有効に活用することにより、住民が地域で継続性のある適切な医療を受けられるようにするものです。言い換えれば、患者を中心として、地域全体でより質の高い継続性のある医療を提供する、「地域完結型医療」の提供を図る仕組みです。

現在、地域の実情に応じて、診療情報の共有や、画像情報の共有、前方連携（受診支援・紹介）、後方連携（退院支援・逆紹介）、地域医療連携クリティカルパスによる連携など、様々な地域医療連携の取り組みが行われています。

本調査は、このような地域医療連携の業務の簡素化・効率化に貢献する「システム」に焦点を当て、参入企業動向や企業戦略、ユーザー動向を整理・分析し、2020年までの市場規模予測を行いました。
また、システムを導入している医療機関の利用状況、満足度なども調査しました。

なお、本調査結果の詳細は、調査研究レポート「2011年版 地域医療連携システムの現状と今後の方向性　〜2012年診療報酬・介護報酬同時改定に向けた医療戦略〜　」（価格：120,000円＋消費税、2011年7月25日発刊）として販売しております。

調査結果のポイントは以下の通りです。

調査結果のポイント

◆ 地域医療連携システムの市場規模は、2010年：約18億円、2015年：約75億円、
　　2020年：約240億円に成長すると予測。

本調査では、地域医療連携システムを以下の 3分野に分類し、3 分野を合計したものを地域医療連携システム市場とした。
　① 主として診療情報を共有するシステム（診療情報共有システム）
　② 画像を共有するシステム（画像連携システム）
　③ 紹介元医療機関への返書や、検査予約等の地域医療連携室の業務を支援する院内システム（連携室支援システム）

この結果、地域医療連携システムの市場規模は、2010 年約18 億円と推定。
今後、東日本大震災の影響も踏まえ、電子カルテの導入と、医療のICT 化は進むと予測されることから、2015 年には約75 億円、2020 年には約240 億円に成長すると予測した。

◆ よく利用する機能は、
　　　①紹介元医師に返書・経過報告書送付、②診療情報共有、③画像共有
◆ 地域医療連携システムの満足度は、満足：44%、不満足：36%

地域医療連携システムを提供しているメーカーの納入実績をもとに、地域医療連携システムを導入済みもしくは導入計画中の病院57 施設を対象にアンケート調査を実施し、既に導入している50 施設から、回答を得た。

また、不満な点について自由記述をしてもらったところ、以下のような回答があった。
　・ 画像表示に時間がかかる
　・ 電子カルテとネットワーク化ができない
　・ 返書管理をするにあたり第一報から最終報告まで段階を追った返書管理ができない
　・ 利用者側の目的と一致していない部分がある
　・ 使い勝手が悪い
　・ 逆紹介のグラフ作成について、地域別や科別の指定ができない

調査概要

調査対象

✓ 地域医療連携システムベンダー
✓ 地域医療連携システム導入または導入計画中の医療機関57施設

調査項目

✓ 市場動向
✓ 市場規模
✓ システムベンダーシェア
✓ 医療機関には、
　　地域医療連携システムの導入時期／導入システムメーカー／導入している地域医療連携
　　システムにおいてよく利用する機能／導入している地域医療連携システムの満足度／
　　他の院内システムとのネットワーク化の状況／連携している医療機関数

調査方法

✓ 個別訪問ヒアリング
✓ 郵送アンケート調査
✓ 公表資料の収集・整理

調査期間

✓ 2011 年4 月〜7 月