プレスリリース

ホーム > プレスリリース > 2012年 > 4月3日発表

「世界の核酸医薬品開発の現状と展望」調査結果

2012/04/03

◆ 核酸医薬品の中心はアンチセンスであり、開発品数も増加傾向。
◆ 開発対象疾患は「がん」「循環器」をはじめとして多岐にわたる。
◆ 実用化/普及の最大の課題は製造コスト。

市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都文京区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、世界の核酸医薬品開発の現状と将来展望に関する調査を実施し、このほど、その結果をまとめました。

核酸医薬品は疾患に関連するmRNAやmiRNA、タンパク等を標的とするため作用機序が明確であり、副作用も少なく、合成が可能な次世代バイオ医薬品として1990年代後半から開発が本格的に進められてきました。現在、世界には核酸医薬品開発を進めるベンチャー企業が50社以上あります。

ベンチャー企業では独自もしくは大手製薬企業とアライアンスを結び、核酸医薬品の研究開発を積極的に進めています。 近年の大きな動きとして Isis Pharmaceuticals/Genzymeが開発を進めているアンチセンス「mipomersen」の欧州での承認申請、Santaris Pharmaが開発を進めているmiRNA標的核酸医薬品「miravirsen」のフェーズII試験成功などがあり、関係者の注目を集めています。

シード・プランニングでは2010年3月に「世界の核酸医薬品開発の現状と将来展望」に関する調査を行い「シーズ開発とデリバリー技術開発」の両面から現状と将来展望を明らかにしましたが、今回の調査では2010年の調査結果を踏まえ、核酸医薬品の最新開発動向や課題、将来展望についてまとめました。

なお、本調査結果の詳細は、調査研究レポート「2012年版 世界の核酸医薬品開発の現状と将来展望」(価格:180,000円+消費税、2012年3月26日発刊)として販売しております。

調査結果のポイントは以下の通りです。

調査結果のポイント

◆ 核酸医薬品の中心はアンチセンスであり、開発品数も増加傾向。

現在、アンチセンスは世界で80 以上の候補品の開発が進められており、既に承認申請が行われているmipomersen、フェーズIII 段階の開発品も多数あるため、今後の開発動向が注目される。
次いで開発品が多いのはsiRNA であり、近年臨床試験が開始された開発候補品も多数ある。また、2010 年時点の開発候補品数と比較すると、アンチセンス/siRNA/miRNA 標的核酸の数が増加していることが明らかになった。

2012年の開発候補品構成比

◆ 開発対象疾患は「がん」「循環器」をはじめとして多岐にわたる。

核酸医薬品の開発対象疾患領域

現在、核酸医薬品の開発が進められている疾患領域はがん領域を中心に循環器疾患や感染症、眼疾患や遺伝性疾患など多岐にわたる。
新しく追加された開発候補品の疾患領域をみると循環器や感染症、遺伝性疾患などがん領域以外が多く、今後の開発展開が注目される。

◆ 実用化/普及の最大の課題は製造コスト。

核酸医薬品には有効性を向上させるためのデリバリー技術など多数の問題点が指摘されているが、医薬品として利用するための最も重要な問題点は製造コストである。デリバリー技術については近年の核酸化学やDDS 技術の研究進展によって解決しつつあるが、製造技術については目立った進歩がない。核酸の製造装置はGE のシェアが大半であり、合成法も固相合成で確立しているため改善が難しい。新規合成法の研究開発などの方向性もあるが、承認申請におけるCMC 試験の不純物評価など規制面の課題と直結するため、製造法の変更は簡単ではない。

核酸医薬遺品を汎用的に利用するためには製造コストを1 ケタ以上下げることが必要である。製造コストの低減のための研究開発は規制当局も関係するため、一つの企業だけでなく核酸医薬品業界全体での取り組みが必要である。

調査概要

調査対象
・ 核酸医薬品の開発を行う世界の企業 51 社
・ 核酸医薬品の開発に携わる有識者 5 名
調査方法
・ 各種文献、インターネットによる情報検索
・ 国際学会/会議(Asia TIDES 2012 ほか)での取材
調査期間
2011 年12 月〜2012 年3 月
本件に関するお問合せ先
株式会社シード・プランニング
〒113-0034
東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル 4F
TEL : 03-3835-9211(代) / FAX : 03-3831-0495
E-mail : info@seedplanning.co.jp
担当 : 番場(ばんば)