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農業IT化の市場規模予測
◆ 農業IT化の市場規模は、2020年に580〜600億円と予測。
2013年の市場規模は66億円と推定。2013年比約9倍の成長。
◆ なかでも農業クラウドサービスが大きく進展。2013年比約28倍の伸びとなり、
農業IT化市場の75%を占める。
市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都文京区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、農業IT化に関する調査を実施し、このほど、その結果をまとめました。
日本の農業は一大転換期を迎えています。衰退の一途をたどっていた農業でしたが、農地法の改正、TPP への参加表明、減反政策の廃止など、強い農業・儲かる魅力ある農業への転換が推し進められています。課題であった農業従事者の高齢化・担い手不足をICT の利活用で高効率・高収益の農業に転換しようとしています。
2020 年に農産物の輸出額1 兆円の政策目標が掲げられ、農地法の改正などで企業の農業市場への参入が増えています。参入各社が展開する事業は「農業ビジネス・アグリビジネス」と呼ばれ、農作物生産に関する専門技術からアイデア、サービスなど多様なアプローチがなされています。事業領域は圃場管理・施設の環境制御など生育管理に関わるものから、農産物の流通・消費、そして新規就農支援のコンサルから気象情報の提供など多方面に広がっています。
これらの動きの中で「日本農業の再生」と「農産物の輸入自由化」などへの対応として注目されているのがセンシング技術や通信技術、バイオテクノロジーなどのハイテクを取り入れた農業のIT 化です。
本調査では、現在取組まれている農業IT 化の動向について、分野別に最新動向を調査し、今後の農業IT 化の市場性と将来性を明らかにしました。
なお、本調査結果の詳細は、調査研究レポート「農業IT化最前線レポート 農業をビジネスに変えるIT化技術と企業 2014年度版」(価格120,000円+消費税、2013年11月30日発刊)として販売しております。
調査結果のポイントは以下の通りです。
調査結果のポイント
◆ 農業IT化の市場規模は、2020年に580〜600億円と予測。
2013年の市場規模は66億円と推定。2013年比約9倍の成長。
◆ なかでも農業クラウドサービスが大きく進展。2013年比約28倍の伸びとなり、
農業IT化市場の75%を占める。
農業IT化とは
農業のIT化とは、IT技術を駆使して農産物の生産・販売に必要な情報を収集し、効率的に農産物を生産し、販売・流通させる技術。
本調査では、農業IT 化を以下の5カテゴリに分けて調査を行った。
-
GPSガイダンス
GPSを用いた農業機械の自動操舵。 -
センサ・ネットワーク/環境制御装置
センサ技術を用いて圃場・栽培施設の温度や湿度、養分、土壌などの情報を取得し、生育に最適な環境を自動制御し、栽培の自動化を図るもの。 -
農作業ロボット
自動選別装置などに代表される農作業自動化装置やパワーアシストスーツなど。 -
直売所POSシステム
直売システムにおける効率的な集出荷の管理、販売手数料などの精算管理を行い農産物流通の効率化を図るシステム。 -
農業クラウドサービス
農産物生産者へ、経営分析、生産技術、販売、物流、融資等の情報を提供し地域振興を図るために自治体などが主体となって構築する農業クラウドサービス。基盤構築や各サービス提供はICTベンダが行う。
主要ICTベンダは、富士通(株)、日本電気(株)、(株)日立ソリューションズ、(株)アグリコンパスの4社。
農業IT化の市場規模予測
- 農業IT化の市場規模は、2020年に580〜600億円と予測。2013年の市場規模は66億円と推定。2013年比約9倍の成長。
- なかでも農業クラウドサービスが大きく進展。2013年比約28倍の伸びとなり、農業IT化市場の75%を占める。
- GPSガイダンス
- 2012年度の農業用GPS ガイダンスシステム等の出荷台数は910 台、自動操舵システムは140台で計1,050 台。この内、北海道向けのGPS ガイダンスの出荷台数は、830 台。自動操舵が130台となっている(北海道農政部技術普及課)。
- 2008年度以降の累計出荷台数は2,340 台で、国内出荷のうち9割が北海道向けに出荷されている。2011年度から自動操舵装置の出荷台数が大きく伸びている。
- 農耕地の大規模集約化が進展(農地集積基盤整備事業)するとともに、準天頂衛星などインフラの整備で実証試験段階から実需に進む。GPSガイダンス市場は、2020年で15億円前後と予測する。
- センサ・ネットワーク/環境制御装置
- 現在、環境制御向けセンサ・ネットワークの導入可能な国内の施設数(潜在ニーズ)は、およそ7000〜8000 施設。
- 環境制御・センサ・ネットワークは2007〜2008 年頃から市場に投入され、2010 年〜2012 年で先進的取組の農業事業者に導入され、ようやく市場で認知され活用されている。
- 累計市場規模は、2012 年で10 億〜11 億円規模(単年では3 億〜3.5 億円規模)にとどまっている。2015 年には4〜5 倍の成長が見込め、10 億〜12 億円規模、2020 年には現在比10倍の35 億円前後に拡大すると予測した。
- 農作業ロボット
- 農作業ロボットは10年以内の実用化を想定して予測した。
- 農機具の1割が農業ロボットに置き換わると想定して、2020年の市場規模は50億円前後と予測した。
- 直売所POSシステム
- 直売所施設は飽和状態といわれながら、この2〜3 年、順調に施設数は増えている。道の駅も同様に増えており、新しい業態での直売所も出現しており、サービスは多様化し、地域活性化のコア施設として機能し、システムの導入が図られている。
- 2015 年以降は飽和状態になり、産直POSシステムの新規導入は鈍化するが、新たなシステムにより付加価値サービスなどの機能を付けた更新需要がメインになると予想される。
- 市場のピークは今後2〜3 年、2017 年以降はリニューアル更新需要となり、2020年の市場規模は55 億円前後と予測した。
- 農業クラウドサービス
- 主要4社(富士通、NEC、日立ソリューションズ、アグリコンパス)の現況と今後の事業計画から推定すると、2015 年時には200 億〜250 億円の市場規模が形成されることになる。
- 現状の各社のクラウド運用サービス数と、市場算定の母数となる農業法人事業体数、及び普及限界率等を勘案し、栽培技術・栽培管理・経営管理関連で210億円前後、トレーサビリティ関連で200億円前後、産直販売関連で30億円前後、計440億円前後の需要が見込めると予測した。
調査概要
- ◆ 調査対象企業
-
• 農業クラウドサービス/GPSガイド・自動操舵/農業用センサー
1.富士通株式会社
2.日本電気株式会社
3.株式会社日立ソリューションズ
4.株式会社アグリコンパス
5.株式会社IHI スター
6.株式会社クロダ農機
7.ジオサーフ株式会社
8.株式会社トプコン
9.株式会社ニコン・トリンブル
10.エム・エス・ケー農業機械株式会社
11.株式会社ササキコーポレーション
12.株式会社システムサプライ
13.住友精密工業株式会社
14.有限会社青電舎
15.株式会社イーラボエクスペリエンス
16.アスザック株式会社
17.ネポン株式会社
18.株式会社ルートレック・ネットワーク
19.株式会社誠和
20.株式会社デンソー
• 産直POSシステム
1.株式会社愛媛電算
2.株式会社インプット
3.株式会社寺岡精工
4.株式会社高崎共同計算センター
5.株式会社テクノア
6.データシステム株式会社
7.東日本電信電話株式会社(NTT 東)
8.株式会社ビジコム
9.株式会社佐賀電算センター
10.株式会社富士通エフサス
11.東芝テック株式会社 - ◆ 調査方法
-
訪問による面談聞取り、及び、電話による聞き取り。
オープンデータ・公開情報の分析。 - ◆ 調査時期
- 2013年7月〜2013年11月
〒113-0034
東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル 4F
TEL : 03-3835-9211(代) / FAX : 03-3831-0495
E-mail : info@seedplanning.co.jp
担当 : 林(はやし)