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認知症ケア支援サービス(*)の市場予測
◆ 2014年の認知症ケア支援サービスの市場規模は138億円。
◆ 2020年には285億円、2025年には424億円に拡大。
◆ 特に、早期発見・評価領域が市場をけん引する。
(*) 既存の公的な認知症ケアを補完、充実させるサービス。サービス提供主体は主に民間企業を想定。
公的な認知症ケアとは社会保険による医療・介護サービスや自治体などの公共サービスによるケアを指す。
市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都文京区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、認知症ケアを支援するサービスに関する調査を実施し、このほど、その結果をまとめました。
高齢化の進展に伴い、認知症高齢者数も増加を続けています。2013年6月に公表された研究報告では、認知症の人は2010年時点で65歳以上高齢者人口の約15%にあたる約439万人に達していると推定されています。
政府は2012年9月に認知症施策推進5か年計画、通称「オレンジプラン」を策定。オレンジプランに基づき2015年までに各市町村で認知症ケアパスを作成して2015年度開始の第6期介護保険事業計画に反映する計画が進められています。
認知症ケアパスの導入に伴い、オレンジプランの対応となる認知症高齢者へのサービスだけでなく、オレンジプランで一部対応となるMCI(認知症と正常の境界域に当たる軽度認知障害)の人や健康な高齢者に対する認知症予防、早期対応サービスの充実が求められています。
本調査では、「認知症予防」、「認知症の早期発見・評価」、「日常在宅ケア」の3つの視点から認知症ケアを支援サービスの現状と、今後どのような製品やサービスが発展していくのかを調査しています。
なお、本調査結果の詳細は、調査研究レポート「2014年版 認知症ケア支援サービスの現状と今後の方向性」 [価格:172,800円(本体160,000円+消費税12,800円)、2014年9月11日発刊 ] として販売しております。
調査結果のポイントは以下の通りです。
調査結果のポイント
◆ 2014年の認知症ケア支援サービス(*)の市場規模は138億円。
◆ 2020年には285億円、2025年には424億円に拡大。
◆ 特に、早期発見・評価領域が市場をけん引する。
(*) 既存の公的な認知症ケアを補完、充実させるサービス。サービス提供主体は主に民間企業を想定。
公的な認知症ケアとは社会保険による医療・介護サービスや自治体などの公共サービスによるケアを指す。
認知症について … 下記ご参考の項参照
認知症の患者数 … 下記ご参考の項参照
認知症ケア支援サービスの定義 … 下記ご参考の項参照
認知症ケア支援サービスの市場規模予測
- 認知症ケア支援サービスの市場規模は、2014 年の段階で138 億円と推定される。2014 年の段階では、特に予防分野の製品・サービスが市場の中心となっている。
- 2014 年以降、認知症ケア支援サービス市場は拡大を続け、2020 年の段階で市場規模が285 億円と2014 年時点と比較して約2.1 倍、2025 年の段階で市場規模が約424 億円と2014 年時点と比較して約3.1 倍まで拡大すると想定される。
- 特に早期発見・評価領域の成長が大きく、2014 年時点では3 億円の市場規模であるが、2025 年には166 億円と約55 倍まで市場が拡大すると想定される。
[予防領域]
- 予防領域は「食品・サプリメント」「運動」「学習」で構成される。
- 2020 年の段階で市場規模が約168 億円と2014 年時点と比較して約1.4 倍、2025 年の市場規模が約213 億円と2014 年時点と比較して約1.8 倍に拡大すると想定される。
- 2014 年の段階では特に食品・サプリメントの製品が中心となる。食品・サプリメント領域の市場規模はDHA を含む製品・サプリメントの売上高を除外して推計を行っている。理由はDHA の摂取目的が多岐に渡るため、認知機能の改善を目的の使用は限定的。
- 特に運動分野の成長が大きく、2025 年には2014年の約4.3 倍に拡大する一方、学習分野はそれほど大きな成長がないと想定される。
- 運動領域の市場規模はあくまでも認知機能改善を目的とした運動プログラムを基準に推計を行っている。健康な高齢者が個人的にフィットネスクラブで運動を行っているケースは推計に含んでいない。
[早期発見・評価領域]
- 2014 年の段階で3 億円と推定される。
- 2020 年の段階で市場規模が83 億円と2014 年時点と比較して約27.7 倍、2025 年の段階で市場規模が166 億円と2014 年時点と比較して約55.3 倍に拡大すると想定される。
- 主な拡大理由としては、様々な製品・サービスの市場投入に加え、オレンジプランに記載されている「認知症初期集中支援チーム」の取り組みのなかで、地域の高齢者の状態把握のために簡易評価ツールが使われるようになると想定。
- また、40 歳以上の成人向けに、健康診断時に追加オプションとして認知症の早期発見を行うサービスが広がると想定している。
- 早期発見および評価に使用するツールは薬事法に基づく承認を受けた医療機器を含まない。そのため、評価結果は医療行為とみなさず、あくまでも参考となるものとする。
- また、推計には医療行為とみなされるものは含めていない。例えば、PET やCT などを用いた画像診断は自費であっても推計には含めない。ただし、血液診断に関しては現在薬局などで自己採血による検査を受けることが可能となっていることから、今後認知症に関しても同様のサービスが展開されると考え、推計に含んでいる。
[日常在宅ケア領域]
- 日常在宅ケア領域の市場規模は2014 年の段階で約18 億円と推定される。2020 年の段階で市場規模が約34 億円と2014 年時点と比較して約1.9 倍、2025 年の段階で市場規模が約45 億円と2014 年時点と比較して約2.5 倍に拡大すると想定される。
- 推計では主に認知症を対象とした見守りサービスを中心としているため、市場規模はそれほど大きくないが、今後様々なサービスが提供されるようになると、市場規模は現在の推計をはるかに上回ることが考えられる。日常在宅ケアサービスは今後、どのようなサービスが創出されるかがカギといえる。
- 見守りのサービスは主に認知症を対象とした見守りサービスや介護保険制度の福祉用具貸与に含まれる認知症老人徘徊感知機器などをもとに算出している。健康な高齢者を対象とした見守りサービスや見守り用の機器は含めていない。
- その他のサービスは製品などが明確ではないため、特に推計には含めていない。
ご参考
- 認知症とは、正常な状態の認知機能が様々な要因により低下することで日常生活や社会生活に支障をきたす状態をい。
- 認知症の原因疾患として最も高い割合を占めるのがアルツハイマー病で認知症全体の50%〜60%程度を占める。その他、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害に伴う脳血管性認知症、びまん性レビー小体病に伴うレビー小体型認知症などが知られている。
- また、認知症の診断基準を満たさない軽度の認知障害をMCI(軽度認知機能障害 :Mild Cognitive Impairment )と呼ぶ。本人もしくは周りの人からもの忘れがあると認識され、年齢に比べて記憶力が低下しているが日常生活には支障がない状態をいう。MCI の国際標準とされる診断基準は確立されていない。
- 厚生労働省研究班は、2013 年6 月に2010 年時点の認知症高齢者数が約440 万人、MCI の高齢者数が約380 万人という推計を公表した。認知症およびMCI の高齢者数の合計は約820 万人、高齢者人口の約4 分の1 が認知症もしくは認知症の疑いがあるということになる。
- 今後団塊の世代が75 歳以上の後期高齢者となる2025 年には認知症およびMCI の高齢者数は1,000 万人を超えると想定されている。
- このような背景から、認知症高齢者を減らすことや介護する家族の負担軽減、社会保障費の削減などにつなげていく民間企業中心による新たな支援サービス(公的な社会保険ではカバーできない領域や、社会保険が対象としていないサービスの提供、など)の創出が求められている。
- 本調査では、認知症やMCI の高齢者だけでなく、健常な高齢者や介護を行う家族も含めて既存の公的な認知症ケアを補完、充実させるサービスや製品を「認知症ケア支援サービス」として定義する。
- 認知症ケア支援サービスの領域は、認知症の発症を防ぐ「予防」、早期の対策を可能とする「早期発見・評価」、認知症であっても在宅での生活を継続するための「日常在宅ケア」の3 領域を設定した。
調査概要
- 調査対象
-
• 認知症関連サービスを提供している企業・団体
• 認知症に関する先進的、先駆的な取り組みをしている企業・団体 、など - 調査方法
-
• 調査対象への取材による情報収集
[認知症関連サービス提供企業・団体 調査項目]
製品・サービス概要 製品・サービス名、コンセプト、概要、主な機能、特長、開始時期、価格、対象
販売(納入)実績 販売(納入)件数、販売(納入)事例
営業体制 営業方針、ターゲット、主な販売ルート、販売提携先、プロモーション、競合先
今後の展開と課題 目標、今後の展開、成功要因、課題・リスクと対策
[先駆的な取り組みをしている法人・団体調査項目]
認知症に関する取り組み 認知症に関する地域の課題、実施内容、特に困難であった点、
認知症ケアパスへの対応、今後の取り組み予定
導入サービスについて 導入しているサービス名、導入の経緯、具体的な活用方法、費用、
提供者からの反応、導入サービスの評価
認知症対策の展望 問題への対応、政策の影響、民間への期待
• オープンデータによる情報収集 - 調査期間
- 2014 年4 月〜2014 年8 月
〒113-0034
東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル 4F
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担当 : 新宅(しんたく)