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スマート農業分野のIT市場 市場規模予測
スマート農業分野のIT市場は、
◆ 2020年に約700億円の市場規模になると予測
2014年 (131億円) の5.3倍に成長
◆ 農業クラウドサービスとセンサ・ネットワーク・環境制御が牽引する
市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都文京区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、スマート農業分野のIT市場について調査を行い、このほどその結果をまとめました。
スマート農業とは、情報通信技術(ICT)やロボット技術を活用して、省力化や精密化などを進める次世代農業です。
現在、農業を取り巻く環境は大変厳しく、「就農者の高齢化と担い手不足」、「休耕地・耕作放棄地の増加」、「安価な農産物の輸入増加への懸念」、「産地表記の偽装や農薬問題など”食の安全・安心”への不安」、「食料自給率の低下」など、課題が山積しています。
これまで産業としての勢いが下降傾向にあった農業でしたが、国は2020 年に農産物の輸出額1 兆円の政策目標を掲げ、農地法の改正、TPP への参加表明、減反政策の廃止、先端技術を農業に応用した「スマート農業」の推進、などの施策により「強い農業、儲かる魅力ある農業」を目指して動き始めました。
このような背景をふまえ、本調査では、スマート農業に取り組む企業の事例を中心に「スマート農業分野のIT 市場」について調査を行いました。
※ 農業分野のIT市場に関する調査は、2011年7月、2013年11月に続き今回で3回目となります。
なお、本調査結果の詳細は、以下の調査研究レポートとして販売しております。
• タイトル
次世代・スマート農業の現状と将来望 農業IT化レポート:2015年版
• 価格(税込) 書籍版またはPDF版129,600円、書籍・PDFセット版162,000円
• 発刊日/体裁 2014年11月7日/書籍版:A4/176ページ、PDF版:CR-ROM
調査結果のポイントは以下の通りです。
調査結果のポイント
◆ 2020年に約700億円の市場規模になると予測
2014年 (131億円) の5.3倍に成長
◆ 農業クラウドサービスとセンサ・ネットワーク・環境制御が牽引する
スマート農業分野のIT市場は、
- 2014年はおよそ131億円の市場規模となる見込み。
内訳は農業クラウド関連が18億円、GPSガイド/自動操舵システム関連が7.5 億円、センサ・ネットワーク・環境制御関連が10.7 億円、植物工場・栽培プラント(太陽光利用型、完全閉鎖型)関連60億円、産直POS システム関連が35 億円。 - 2015 年以降の農業IT化市場については、当面2〜3 年(2016 年頃まで)は実証実験の段階のものが多く、本格運用の段階に入るのは17年以降と予測した。
- 2017年時には、収量生産型として施設園芸・植物工場が立ち上がり、センサ・ネットワーク・環境制御関連の伸びもあり、市場は420億円規模。
- 2020年は農業クラウドが本格化し、700 億円規模の市場形成と予測した。
農業クラウドサービスの動向
- スマート農業に向け農業クラウドサービスを提供する事業者が増えてきた。2012 年までは、大手ベンダ(富士通、NEC、日立ソリューションズ、アグリコンパス)がメインで、サービスも地図ベースでの圃場管理・営農支援など限定的であったが、この1〜2 年サービスメニューが拡がってきた。
- 今後は急速に農業クラウドサービスの利用が進み、17年で80〜90億円。2020年頃には、施設園芸系で普及限界の45%、圃場系でも30%程度が農業クラウドサービスを導入すると予想する。市場は280〜300 億円規模となる。
植物工場・栽培プラント(太陽光利用型、完全閉鎖型)の動向
- 2013 年以降、高付加価値作物や新規栽培種の開発・機能性野菜などの開発・技術向上、異業種から参入が増加。植物工場施設数は、2014年3月時点で383施設。この内、人工光利用の植物工場が165施設、太陽光利用併設型が33 施設。
- 植物工場成長拡大の要因は、収量生産型としての生産方式が流通事業者などに認知されてきたこと(4 定=安心・安全・安定・安価)が最大の要因。
- 企業・自治体などが所有する遊休地や遊休施設で4定の食料生産に取り組もうとする潮流が出てきていることなど。
- 2020年の植物工場・栽培プラント市場は160億円と予測。
センサ・ネットワーク・環境制御の動向
- 現在、施設園芸(主に太陽光利用型)での環境制御装置の潜在市場としては、8000施設くらいが対象として想定されている。施設園芸での環境制御(センサ・ネットワーク)装置は2007〜2008 年頃から市場に投入され、ようやく市場で認知され利活用が増えてきた。
- 圃場向けは、2015 年11.5 億円、17 年26 億円、20 年45 億円。施設園芸向けは2015 年で8 億円余り、2017 年は75 億円、2020 年は現在比10-15 倍の110 億円に拡大すると予測。
GPSガイド/自動操舵システムの動向
- 2013 年の国内での農業用GPS ガイダンスシステムの出荷台数は890 台、自動操舵システムは190 台。市場規模は7 億円(平均システム単価:64 万円)。この内、北海道向けのGPS ガイダンスが780 台(87.6%)、自動操舵が170 台(89.5%)となっている。
- 今後、農地の集約が進み大規模経営を行うには必須のシステムとして期待されている。準天頂衛星の整備により、24 時間精度の高い位置情報を得られる2017〜18 年頃が導入のピークになると思われる。また、大規模農家では自動操舵システムなど、より効率化を図るシステムの導入も進展していくと予想。
産地直売所POS システムの動向
- 地域の特性に合わせたシステムで進展している。市場ピークは2015〜16 年、2017 年以降はリニューアルの更新需要となると予測。
- 普及限界は産地直売所で45%、道の駅は95%を想定。市場規模は2020年で80 億円規模。
調査概要
- 調査対象企業(22社)
-
1) 井関農機株式会社
2) 株式会社クボタ
3) ヤンマー株式会社
4) 株式会社IHI スター
5) 株式会社クロダ農機
6) ジオサーフ株式会社
7) 株式会社トプコン
8) 株式会社ニコン・トリンブル
9) 株式会社アルミス
10) 三協フロンティア株式会社
11) 株式会社NTTシステムファシリティーズ
12) 三菱化学株式会社
13) 西松建設株式会社
14) 鹿島建設株式会社
15) パナソニックES集合住宅エンジニアリング株式会社
16) ネポン株式会社
17) 富士通株式会社
18) 日立ソリューションズ株式会社
19) トヨタ自動車株式会社
20) 株式会社ルートレック・ネットワークス
21) 株式会社デンソー
22) 四国IT農援隊 - 調査方法
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• 訪問による面談聞取り及び電話サーベイ
• オープンデータ及び、公開情報の分析 - 調査期間
- 2014年7月〜10月
- 調査内容
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<市場について>
1) 次世代・スマート農業の市場概観
2) スマート農業・クラウド市場
3) センサ・ネットワーク・環境制御装置市場
4) GPS ガイダンス市場
5) 施設園芸・植物工場の現状
<個別企業について>
1) 農業IT 化の取組み
2) 商品名・システム概要
3) 実績・課題
4) 今後市場性
〒113-0034
東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル 4F
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担当 : 林(はやし)