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住宅用太陽光発電・蓄電システムの流通・販売動向と展望−調査結果
住宅用太陽光発電システムの流通・販売動向
• メーカー、販売店とも非住宅用から住宅用に軸足をシフト
• 2015年度の販売台数は約20万件、 新築向け約40%、既築向け約60%
流通経路は、新築向けの6割強をハウスメーカーが、既築向けは5〜6割を大手販売店が販売
• メーカーシェアトップは、新築向けがシャープ、既築向けがパナソニック
• 今後は新築向けが増加の傾向、ハウスメーカーからパワービルダー・ビルダー・
工務店に裾野が広がる
住宅用蓄電システムの流通・販売動向
• 住宅用太陽光発電は「売電」から「蓄電して自家消費」へ
• 太陽光発電システム販売店の次の商材として蓄電システムを扱う販売店が増加
• 補助金に頼らない販売ノウハウが出来つつある
市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都文京区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、家庭用太陽光発電システム、蓄電システム、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の流通・販売動向と展望に関する調査を行い、このほどその結果をまとめましたのでお知らせいたします。
シード・プランニングでは、2011 年1 月に「日本の太陽光発電市場の流通と販売チャネル動向調査」を出版しました。当時は、太陽光発電システム市場の拡大に向け、海外の太陽光発電システムメーカー、家電量販店、など、多くのプレ−ヤーが日本の太陽光発電システム市場へと参入し、急成長する太陽光発電システム市場の中で、いかに拡販を進めるかが模索されていました。
2016 年現在、日本の太陽光発電システム市場は転換期にあります。多くの関連企業が、市場が縮小する非住宅用から、ZEH(ゼロエネルギーハウス)普及などで安定的な成長が期待される住宅用へと軸足を変えつつあります。
また、太陽光発電システムの利用方法は、売電から自家消費へとシフトしつつあります。住宅や地域での最適なエネルギー利用のため、太陽光発電システム単体の販売ではなく、蓄電システムやHEMS、電気料金プランなどを含めたトータルでの提案が求められてきています。
本調査では、太陽光発電システム・蓄電システム・HEMSのメーカー・販売店・一括見積り依頼サイト運営会社・ハウスメーカーなどにヒアリング調査を実施し、流通・販売の現状と今後のトレンドを整理しました。
なお、本調査結果の詳細は、市場調査レポート「ホームエネルギーソリューションの流通と販売チャネルの動向調査」に記載しています。
http://store.seedplanning.co.jp/item/9267.html
本調査結果のポイントは以下の通りです。
調査結果のポイント
• メーカー、販売店とも非住宅用から住宅用に軸足をシフト
2009 年からの余剰電力買取制度、2012 年からの固定価格買取制度(FIT)や、補助金制度などの助成政策、太陽光発電システムの価格低下などを受け、2010 年代前半、太陽光発電システム市場は大きく成長した。
特に、固定価格買取制度の非住宅用の買取価格・期間は、投資効果が大きく、非住宅用の出荷量は飛躍的に増加した。2011 年度以前は住宅用中心であった太陽光発電システム市場は、非住宅用途メインにシフトした。2014 年度の非住宅用の太陽電池モジュール出荷割合は全体の約8 割を占める。
その後、買取価格の低下や、2014 年9 月の九州電力の系統接続申込みに対する回答保留(通称「九電ショック」)、大規模な太陽光発電システム設置の適地が減少していることなどを受け、太陽光発電システム市場全体が縮小に転じた。
住宅用途では、現在、ZEH(ゼロエネルギーハウス)普及に向けた取組が進んでいることや、非住宅用市場縮小により住宅用に注力するメーカー、販売店が増加していることなどから、新築住宅用を中心に市場回復への動きが見られる。
• 2015年度の販売台数は約20万件、 新築向け約40%、既築向け約60%
流通経路は、新築向けの6割強をハウスメーカーが、既築向けは5〜6割を大手販売店が販売
2015年度の住宅用太陽光発電システムの販売件数は約20万件で、このうちの約40%(約8万件)が新築向けであった。流通経路はハウスメーカー
(*1)
経由が60%強、残り40%弱がパワービルダー
(*2)
、ビルダー
(*3)
、工務店
(*4)
を経由している。
既築は約60%(約12万件)で、流通経路は、大手販売店経由が50~60%、以下、各メーカーの販売ネットワーク
(*5)
、ハウスメーカーリフォーム部門、家電量販店・ホームセンターなどとなっている。
(*1) ハウスメーカー ……… 全国的に営業を行なう新築住宅建設会社。各社独自の住宅商品を有する。
(*2) パワービルダー ……… 分譲住宅をローコストに提供することが特徴の新築住宅建設会社。
(*3) ビルダー ……………… 近隣の複数の都道府県で営業する新築住宅建設会社。
(*4) 工務店 ………………… 特定地域で地域密着型の営業をする新築住宅建設会社。
リフォームなどの他事業を展開する場合も多い。中小企業が多い。
(*5) 各メーカーの販売ネットワーク …… 各メーカーの特約店、FC店、系列家電店など。
• メーカーシェアトップは、新築向けがシャープ、既築向けがパナソニック
[新築住宅用]
太陽光発電システム黎明期よりハウスメーカー向けへの供給を行なうシャープ、京セラのシェアが引き続き大きい。
新築住宅では、ハウスメーカーやビルダー、工務店が提案する製品がそのまま採用される傾向が強く、既築住宅と比べ、ユーザーがメーカーを選択、指定するケースは少ない。
[既築住宅用]
発電量の大きいパナソニック製品が価格を下げ、シェアを拡大した。
価格競争が激化し、海外製品と日本製品の価格差は少なくなっている。そのため、海外製品の価格優位性が下がり、ネームバリューのある日本メーカー製品が選ばれる傾向が出てきている。
メーカーシェア詳細は、市場調査レポート 「ホームエネルギーソリューションの流通と販売チャネルの動向調査」 (http://store.seedplanning.co.jp/item/9267.html) をご参照いただきたい。
• 今後は新築向けが増加の傾向、ハウスメーカーからパワービルダー・ビルダー・工務店に裾野が広がる
メーカー、大手販売店などがパワービルダー、ビルダーや工務店向けのZEH、太陽光発電システム販売支援を進めている。これにより、ZEH普及に向け太陽光発電システムを取り扱う会社が増加する傾向にある。
一方、ハウスメーカーも引き続きZEHへの取り組みを加速させており、太陽光発電システム搭載率の増加が期待される。
• 住宅用太陽光発電は「売電」から「蓄電して自家消費」へ
• 太陽光発電システム販売店の次の商材として蓄電システムを扱う販売店が増加
• 補助金に頼らない販売ノウハウが出来つつある
スマートグリッドへの取組や、東日本大震災による防災意識の高まりをうけ、2010 年、2011 年頃から、徐々に蓄電システムが販売されるようになった。
2012 年度下期からは、経済産業省の「定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業費補助金」による後押しを受け、防災対策に加えエネルギーマネジメントのためにも導入されることが多くなってきた。
新築住宅では、ハウスメーカーを中心に太陽光発電システム、HEMS、蓄電システムの3 点セットでの搭載が進んでいる。既築住宅では、太陽光発電システムの販売チャネルを活用した販売が進んでいる。
太陽光発電システムは価格競争の激化により、販売店の利益率が低下傾向にある。そのため、新しい商材として、蓄電システムの販売を扱う販売店が増加してきている。
2014 年度、2015 年度はいずれも第一四半期で補助金予算が消化され、補助事業が終了した。蓄電システム普及の最大の課題は価格が高く、価格に見合った導入メリットを提案しにくいことであり、補助金は重要な普及促進要因となった。しかし、2014 年度、2015 年度ともに、補助金終了後の販売ペースは、一定規模の販売が進んでおり、補助金無しでの販売ノウハウも構築されつつある。また、蓄電システムの販売価格も徐々に下落の兆しがみえている。2016 年度は蓄電システム単体の補助事業が実施されていない中で、2015 年度以上に市場が拡大するかが注目される。
2016 年度以降は、太陽光発電システム買取期間終了、ZEH 支援事業など、様々な要因から、蓄電システムが一層普及していくことが予想される。
調査の概要
- 調査対象
- 戸建住宅への太陽光発電システム、HEMS、蓄電システムの流通、販売チャネル
- 調査方法
-
・ 主要プレイヤー29社を調査、内18 社へはヒアリング実施(太字)
<ホームエネルギーソリューションメーカー>
エリーパワー / オムロン /京セラ/ シャープ / ソーラーフロンティア /東芝/ニチコン/
日本電気 /パナソニック/ ハンファQセルズジャパン / フォーアールエナジー /三菱電機/ Looop
<販売店>
ウエストビギン / エクソル /ジューテック/ 新興マタイ /すてきナイスグループ/高島/
長府工産/ 日本エコシステム / 山善 /ユアサ商事/ONEエネルギー
<一括見積もり依頼サイト>
アイアンドシー・クルーズ / グッドフェローズ
<ハウスメーカー>
住友林業 / 積水化学工業 / 大和ハウス工業
・ 業界有識者へのヒアリング
・ 販売店、ZEH ビルダー等への電話ヒアリング
・ 太陽光発電システム販売店への郵送アンケート
・ 公開情報、弊社所有情報、その他入手可能な情報の収集整理 - 調査期間
- 2015 年11 月〜2016 年8 月
〒113-0034
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