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再生・細胞医療研究の現状とビジネスの展望 −調査結果−
• 国内の再生医療市場
→ 2015年の市場規模は、約140億円と推計。約9割が 「がん免疫細胞療法」や
「美容領域」等の保険外診療。
→ 2020年以降、iPS細胞由来の再生医療等製品が徐々に承認され、市場は急速に拡大。
→ 2030年の市場規模は、2015年比約78倍の約1兆1,000億円を超えると予測。
• 世界の再生医療市場
→ 2015年の市場規模は、約1,200億円と推計。米国が約70%。
→ 今後、新興国での再生医療普及で市場が急拡大。
→ 2030年の市場規模は、2015年比約106倍の約12兆8,000億円と予測。
市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都文京区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)では、再生細胞医療研究の現状とビジネスとしての将来展望に関する調査を行い、このほど、その結果をまとめましたのでお知らせいたします。
2012年10月に山中伸弥京都大学教授のノーベル生理学・医学賞受賞が決まって以降、特にiPS細胞を中心とする再生医療の分野は、iPS細胞を使った再生医療の研究施設・設備整備への支援などが盛り込まれるなど国の後押しもあります。さらに、2014年11月には改正薬事法「医薬品医療機器法」および「再生医療等安全性確保法」が同時施行され、再生医療の実用化、新産業形成に向けての動きがさらに加速すると期待されています。
2014年9月には、滲出性加齢黄斑変性患者に対して、世界で初めてiPS細胞を用いた網膜細胞の移植手術が実施されました。また、2016年度にはiPS細胞を用いた新たな治験届提出計画もあることから、iPS細胞を用いた再生医療の実現化への期待はさらに高まっています。
当社では2002年以降、再生医療に関する調査を継続的に実施してまいりました。
本調査では、iPS細胞の研究動向、幹細胞の創薬利用や再生医療に関する国内外の最新技術動向、事業参入状況等に焦点を当て、我が国の再生医療産業の全体像を調査分析しました。
本調査結果の詳細は、市場調査レポート「 2016年版 再生・細胞医療研究とビジネスの展望 −法改正による再生医療ビジネスの加速 」に掲載いたしました。
http://store.seedplanning.co.jp/item/9310.html
調査結果のポイントは以下の通りです。
調査結果のポイント
→ 2015年の市場規模は、約140億円と推計。約9割が 「がん免疫細胞療法」や
「美容領域」等の保険外診療。
→ 2020年以降、iPS細胞由来の再生医療等製品が徐々に承認され、市場は急速に拡大。
→ 2030年の市場規模は、2015年比約78倍の約1兆1,000億円を超えると予測。
本調査における再生・細胞医療の定義
わが国では、2014 年11 月から施行された薬機法に基づき製造販売承認を経て保険収載される「再生医療等製品」と、再生医療等安全性確保法に基づく自由診療や臨床研究等による「特定細胞加工物」の2 つのトラックがある。
本調査では、基本的には「再生医療等製品」+「特定細胞加工物」-「遺伝子治療」を調査対象範囲とし、これらを「再生医療製品」と定義した。ただし、患者自身の免疫機能を活性化させるがん免疫細胞療法も調査範囲に含めた。
国内の再生・細胞医療市場
2015年の市場規模は、約140億円と推計。約9割が「がん免疫細胞療法」や「美容領域」等の保険外診療。
2015 年時点の国内の再生医療市場は約140 億円で、その約9 割はがん免疫細胞療法や美容領域等の保険外診療が占めている状況である。
条件及び期限付承認制度の導入に伴い、2020 年までに複数の再生医療等製品が条件及び期限付承認を取得する見込みであり、かつ海外からの国内市場への参入の可能性も加味すると、2020 年には国内市場規模が600 億円を超えると推計した。
2020年以降、iPS細胞由来の再生医療等製品が徐々に承認され、市場は急速に拡大。2030年の市場規模は、2015年比約78倍の約1兆1,000億円を超えると予測。
2020 年以降には、iPS 細胞由来の再生医療等製品が徐々に承認され、2020 年から2030 年にかけて市場拡大が急速に加速すると考えられる。また、脊髄損傷をはじめとする現在有効な治療法が存在しない疾患領域を対象とする再生医療等製品が上市されること、適応となるであろう患者数が多いこと、臓器移植代替の領域に再生医療が貢献すること等を踏まえると、2030 年の国内市場規模は約1 兆1,000 億円に到達すると予測した。
対象部位に関して、2020 年以降軟骨領域、眼領域および神経領域において急速に市場が拡大すると予想される。
- 軟骨領域に関しては、現在対象疾患から除外されている変形性膝関節症を対象とする再生医療等製品が上市することにより、適応となる患者数が大幅に増えるため、市場が拡大すると想定される。
- 眼領域の疾患に関しては、角膜疾患および網膜疾患において複数の製品が上市し、さらに世界で初めてのiPS 細胞を用いる加齢黄斑変性の細胞医薬品が上市する見込みであることから、市場の拡大が期待される。
- 神経領域の疾患については、現在有効な治療法はなくリハビリが中心に行われているものの、開発中の製品を用いることによって症状回復が観察される症例もあることから、神経領域における再生医療等製品は承認後に急速に普及するものと思われる。
- この他、2030 年以降には臓器移植の代替としての再生医療が実現する可能性が十分にある。移植待機患者数が多くなっていることから、臓器移植の代替としての再生医療が実現すると、社会的意義も大きく、普及も期待できるだろう。
→ 2015年の市場規模は、約1,200億円と推計。米国が約70%。
→ 今後、新興国での再生医療普及で市場が急拡大。
→ 2030年の市場規模は、2015年比約106倍の約12兆8,000億円と予測。
2015 年時点で世界の再生医療市場は約1,200 億円であり、そのうち米国が約70%を占めている。
しかし、将来的には、中国やインドなどの新興国において、人口や国民所得の増加に伴い、再生医療品が普及してくることにより市場が急速に拡大すると予想される。その結果、世界の再生医療市場は、2020 年に7,000 億円を超え、2030 年には約12 兆8,000 億円になると予測した。
調査の概要
- 調査方法
- 弊社保有情報、公開情報、参入企業ヒアリング、有識者ヒアリング
- 調査対象企業
-
国内外の再生医療事業を推進している企業について、ビジネスモデルや製品概要、
開発パイプラインなどについて調査。その内の以下に掲げる国内14社、海外25社に
ついては調査レポートに個票を掲載。
国内企業一覧(14社) (1) iHeart Japan 株式会社
(2) サンバイオ株式会社
(3) JCR ファーマ株式会社
(4) ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング株式会社
(5) 株式会社セルシード
(6) 武田薬品工業株式会社
(7) 大日本住友製薬株式会社(8) 株式会社ツーセル
(9) テラ株式会社
(10) テルモ株式会社
(11) 株式会社ヘリオス
(12) 株式会社メガカリオン
(13) 株式会社メディネット
(14) レジエンス株式会社
海外企業一覧(25社) (1) Anterogen Co., Ltd. 韓国
(2) Argos Therapeutics, Inc. 米国
(3) Athersys, Inc. 米国
(4) BioCardia, Inc. 米国
(5) bluebird bio, Inc. 米国
(6) Brainstorm Cell Therapeutics, Inc. 米国
(7) Capricor Therapeutics, Inc. 米国
(8) Celixir, Ltd. 英国
(9) Celyad S.A. ベルギー
(10) Gamida Cell, Ltd. イスラエル
(11) Histogenics, Corp. 米国
(12) Kolon Life Science, Inc. 韓国
(13) Medipost Co., Ltd. 韓国(14) Mesoblast, Ltd. オーストラリア
(15) Neuralstem. Inc. 米国
(16) Northwest Biotherapeutics, Inc. 米国
(17) Pluristem Terapeutics, Inc. イスラエル
(18) Regenmedtx, LLC. 米国
(19) Steminent 台湾
(20) Stempeutics Research Pvt. Ltd. インド
(21) Tessa Therapeutics Pte Ltd. シンガポール
(22) TiGenix NV ベルギー
(23) Tissue Gene, Inc. 米国
(24) U.S. stem cell, Inc. 米国
(25) ViaCyte, Inc. 米国 - 調査内容
- 再生医療製品の販売・開発動向、iPS細胞に関する国内外の動向
- 調査期間
- 2016年1月〜2016年8月
〒113-0034
東京都文京区湯島3-19-11 湯島ファーストビル 4F
TEL : 03-3835-9211(代) / FAX : 03-3831-0495
E-mail : info@seedplanning.co.jp
担当 : 山崎(やまさき)